二階堂豊は髭を撫でながら、気さくに言った。「白川坊さんがそう仰るなら、必ずお手伝いさせていただきます!」
まさか一言で承諾してくれるとは思わなかった。
海野桜は大変喜んで、「二階堂様、本当に私たちを助けてくださるのですか?ありがとうございます、本当にありがとうございます!」
二階堂豊は笑って言った。「そう急いで感謝なさらなくても。私にどれだけお役に立てるか分かりませんから。今は客人が多いので、この件は後ほど詳しく話し合いましょうか?」
「はい!」海野桜はもちろん異議なかった。
それから二階堂豊は人を呼んで彼らをもてなさせ、自身は他の客人たちの接待に向かった。
彼が去ると、海野桜は嬉しそうに白川宗助に言った。「まさかこんなにすんなり承諾してくださるなんて。白川様、本当にありがとうございます。」
白川宗助は思わず笑った。「二階堂様があなたを助けてくれるのに、なぜ私に感謝するのです?」
海野桜は当然のように言った。「二階堂様はあなたの面子があったからこそ私を助けてくださったのです。二階堂様にも感謝していますが、あなたにも同じように感謝しています!」
白川宗助は微笑んで、「おじい様が見つかってから、感謝してください。」
「必ずそうします!」海野桜は力強くうなずいた。
もし本当におじい様が見つかったら、きっと彼に深く感謝するだろう。
いや、たとえ見つからなくても、彼には感謝している。
海野桜は希望を見出し、気分も随分と良くなった。宴席では、たくさん食べた。
ただし、このような宴席では、食事をする人は少なく、みんな基本的に行き来しながら、付き合いたい人と話をしていた。
白川宗助も酒杯を手に応酬に出かけた。
海野桜は一人で食卓に座り、ゆっくりと食事をしながら、周りの様子を観察していた。
突然、群衆の中に見覚えのある大きな背中を見つけた!
彼を見て、海野桜は一瞬固まり、目の錯覚かと思った。
遠くにいた男が丁度振り返り、彼女も一瞬で彼を見つけた……
二人とも非常に驚いた!
海野桜は大変驚いた。このような宴会で相良剛に会うとは思ってもみなかった。
もう半年、彼らは会っていなかった……
相良剛も彼女を見て同じように驚いたが、何の表情も見せず、まるで彼女を全く知らないかのように自然に視線を逸らした。