海野桜は一瞬驚いて、笑って言った。「私の方こそ光栄です。あなたのお力添えをいただけて」
白川宗助は静かに笑い、その笑顔は清々しく率直で、春風のような心地よさを感じさせた。
「では、今夜はお互いの光栄を大切にしましょう。そして、良い知らせが早く届くことを願っています」
「ありがとうございます」海野桜は微笑んで、彼の腕に手を添えて、一緒に歩き出した。
宴会場のホテルに向かう道中、海野桜は白川宗助から今日会う人物について簡単な説明を聞いた。
その人物は二階堂豊という名で、今日はちょうど70歳の誕生日だった。彼は福岡市のカジノを数軒経営しているだけで、家族もそれほど裕福ではなかった。
しかし、裏では、ほとんど誰も彼に手出しできず、多くの人が彼を畏れていた。
その理由について、白川宗助は海野桜に説明しなかった。しかし海野桜は、二階堂家には他の知られざる勢力があるのだろうと推測できた。