「まさか、お爺様は彼らを冤罪に陥れていなかったということですか?」と張本家政婦は驚いて尋ねた。
「ええ」海野桜は頷いた。
「一体どういうことなの?お爺様でないなら、なぜ彼は認めたの?」
「張本さん、それは今はお話しできないの。後で機会があったら説明するわ。とにかくお爺様は良い人で、潔白なの」
張本家政婦は溜息をつきながら言った。「私はずっとお爺様が良い人だと信じていました。あの時、きっとお嬢様を救うために、認めざるを得なかったのでしょう。でも東山裕は真相を突き止めようとしてあなたたちを追い詰め、お爺様を信じようともしない...お嬢様、彼とは一緒にいない方がいいわ。そもそも彼がいなければ、こんなことにはならなかったのに...」
海野桜の心は急に複雑な思いに包まれた。
お爺様が彼女と東山裕との関係を認めなかったのは、きっと二人の間に本当の正直さと信頼関係が築けないからだろう。
もちろん、30年以上前に起きた出来事も、彼らが一緒になれない理由の一つだった。
だから一緒にいないほうがいい。東山裕が言ったように、それぞれの道を行くのが一番いい。誰にとってもそれが最善なのだ。
...
東山裕からは何の情報も得られなくなった。
海野桜は自力でお爺様を見つけるしかなかった。
夜、彼女はお爺様の書斎を隅々まで探し、何か手がかりを見つけようとした。
しかし、あの謎の写真以外に、何の手がかりも見つからなかった...
海野桜が書斎の机に座って考え込んでいると、突然携帯が鳴った。
鈴木育光からの電話だった!
海野桜は急いで電話に出た。「もしもし、叔父さん」
「桜、お爺様の消息は分かった?」と鈴木育光は尋ねた。
海野桜は暗い声で答えた。「いいえ」
「何の情報もないの?」
「はい」
彼女の悲しみを察して、鈴木育光は慰めた。「心配しないで。お爺様はきっと見つかるし、大丈夫だよ。何か助けが必要なら、叔父さんに言ってくれ。私は福岡市にいないけど、人を頼んで助けることはできるから」
「はい、ありがとうございます、叔父さん」
鈴木育光は笑い出した。「家族なのに、そんなに改まらなくても...」
鈴木育光とまだ少し話をしてから、海野桜は電話を切った。
彼女は再びあの謎の写真を手に取り、注意深く観察したが、やはり何も分からなかった。