第374章 彼女が死ぬと思った

そして次の瞬間、彼は海野桜を抱き上げて階段を駆け下りた!

その速さといったら……

海野桜は彼の突然の行動に戸惑っていた。

「どこに連れて行くの?」彼女は困惑して尋ねた。

東山裕は答えず、薄い唇を固く結び、表情も硬かった。

彼は彼女を抱きかかえて素早く車に乗り込み、すぐに車を発進させた。とても緊急な様子だった。

海野桜は彼の行動に不思議と怯えていた。彼女は困惑し、推測していたが、すぐにお腹の痛みに意識を引き戻された。

痛い……

海野桜は苦しそうにお腹を押さえ、死にそうな気分だった。

東山裕も彼女が死にそうだと思っていた……

しかし病院に着いて検査結果を聞いた時、彼らは言葉を失った。

海野桜はただ生理が突然始まっただけだった!

お腹が痛くなった理由は、激しい運動と精神的なストレスが重なって胃けいれんを起こしたためだった。

つまり、彼女は実際には何ともなかった……

海野桜は病室のトイレに隠れて出たくなくなった。

本当に恥ずかしい。東山裕が彼女を抱きかかえて病院に駆け込んだとき、多くの人が彼女のお尻の血を見ただろう。

少なくとも診察した医師と看護師は見ていた……

しかも医師は男性医師だったのに!

医師と看護師は呆れていただろう。なぜなら彼女はただ生理が来ただけなのに、彼女と東山裕は死にそうな深刻な様子だったから。

当時の彼らの奇妙な視線を思い出すと……海野桜はまた出たくなくなった。

「コンコンコン」突然トイレのドアがノックされ、外から東山裕の低い声が聞こえた。

「必要なものを全部買ってきた。ドアの外に掛けておくから、出て取って。」

「……うん。」海野桜は返事をした。

その後、東山裕が去る足音が聞こえた。彼が遠ざかったのを確認してから、海野桜はドアを開けに行った。ドアをほんの少しだけ開け、ドアノブに掛かっている袋を取り、素早く中に戻ってドアを閉めた!

東山裕は確かに彼女が必要としていたものを全部買ってきていた。

下着、スカート、そして生理用品……

海野桜は何故か少し顔が赤くなり、彼がこれらを買う時、恥ずかしい思いをしなかったのかと気になった。

実は彼女は看護師に頼んで買ってもらおうと思っていたのに、東山裕が自分で行くと決めたのだ。

なぜ自分で行こうとしたのだろう?