第377章 実家を売ろうとしている

「でも顔色が悪いわね……」張本家政婦は彼女の顔を撫でながら、心配そうに言った。「具合でも悪いの?それとも何かあったの?何か心配事があるように見えるわ」

張本家政婦は彼女を育ててきただけあって、いつも彼女の様子がおかしいことに気づくのだった。

海野桜はソファに座り、しばらく黙ってから言った。「ただなんとなく、悲しい気持ちになるの」

「どうして悲しいの?」張本家政婦も隣に座り、優しく尋ねた。

海野桜は彼女を見つめ、小声で言った。「東山裕のことで……」

張本家政婦は驚いた。「東山坊様のことで?どうして?」

海野桜の目は途端に茫然としたものになり、しばらくして、ただ一言だけ答えた。

「分からないの。ただ彼を見ると、どうしても悲しくなってしまうの」

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張本家政婦は海野桜のために美味しい料理を作った。