第378章 この家は売れない!

彼らが祖父の大切なものを持ち去ろうとするのを見て、海野桜は怒って制止に入った。

「触らないで!これは持って行かせません。何も触らせません。みんな出て行って!誰も祖父の物に触れさせません!」

作業員の一人が困った様子で言った。「お嬢さん、どうか邪魔しないでください。決める権限はあなたにはないでしょう。」

「誰が権限がないって言うの?これは全部祖父の物よ。みんな出て行って……」海野桜が彼らを追い払おうとした時、浜田英司が突然厳しい声で叱りつけた。

「海野桜、何をしているんだ?!早く退きなさい。叔父の仕事を邪魔するつもりか?」

海野桜は彼を見つめ、「叔父さん、私が邪魔したいわけじゃないの。でも祖父の家を売ることはできません。祖父はきっと戻ってくるわ。売ってしまったら、どう説明するつもりなの?」

「そんなことはお前が口を出すことじゃない。早く退け!」浜田英司は彼女を引き離しながら叱りつけた。「お前はもう嫁いだ身だ。家のことに口を出すな。今はこの家の決定権は私にある。私の言う通りにするんだ!」

「でも叔父さんは祖父の心血を売ろうとしているのよ!祖父は生きている限り、この家は売らないって言ったのに!」

「売りたくて売ると思っているのか!でも家を売らなければ、お前の祖父は死んでしまうんだぞ!」浜田英司は突然そう言い放った。

海野桜は困惑し、彼の言葉の意味が理解できなかった。「叔父さん、それはどういう意味ですか?」

浜田英司はため息をつきながら説明した。「お前の祖父は行方不明になった。探すにはお金がかかるだろう?私と叔母さんはもう相当な貯金を使った。今は古い家を売るしかない。そうしないと探し続けることができないんだ!早く見つけないと、お年寄りが外で何か不測の事態に遭ったらどうする?家を売るのも、全て彼のためなんだ!」

海野桜は黙り込んだ。

叔父が祖父のためを思っているような態度を見て、彼女は怒りで言葉を失った。

なぜなら、彼の言葉を全く信じていなかったからだ!

海野桜は我慢できずに言った。「叔父さん、あなたたちは全然お金を使って祖父を探してなんかいません。全部警察が協力して探してくれているだけじゃないですか!」