「社長は庄野グループが買収しようとしていた物件の30パーセントを密かに買い取り、周辺の土地も手に入れたんです。
庄野グループが不動産開発を円滑に進めるためには、まず社長が持っている物件と土地を買い取らなければなりません。
そうしなければ、工事を進めることができないんです。
だから今の庄野グループは、社長とよく交渉しないと、開発権が無駄になってしまいます。」
海野桜は驚愕した——
東山裕がこんなことをしていたなんて、思いもよらなかった。
浜田家の古い屋敷が取り壊されるのを阻止するために、彼はこれほどの物件と土地を買い取ったのだ!
そうすることでしか、庄野グループと交渉する資格を得られなかったのだ。
彼はここまでやってのけたのだ!
海野桜は東山ビルをどうやって出たのか覚えていなかった。