恋愛は、いつでもどこでも、場所や状況を選ばずにやってくるものだ。
車が流れるように行き交う道路の真ん中でさえ、東山裕と海野桜は我を忘れて互いにキスし、何も気にしていなかった。
まるで、世界中が消え去り、彼らふたりだけが残されたかのように。
彼らの抱擁とキスは、永遠に続くかのようだった……
車の中の女性は彼らをしばらく見つめ、複雑な眼差しで視線を戻すと、運転手に命じた。「行きましょう!」
「はい、お嬢様!」
車は発進して去っていったが、東山裕と海野桜が一緒にいる光景は、彼女の脳裏から消し去ることができなかった。
同様に、通りがかりの車もすべて見ていた……
誰もが今夜のことを覚えている。
道路の真ん中で、一人の男性と一人の女性が情熱的に抱き合いキスしていたことを。
彼らは、お互いをとても愛しているようだった。