「気を散らすな、よそ見するな!だから教えて、昨夜何が起きたか覚えてる?」
海野桜は少し黙った後、わざと首を振った。「覚えてないわ。」
東山裕は一瞬固まり、次の瞬間には危険な目つきで眼を細めた。「覚えてない?もう一度聞くから、よく考えて答えなさい。昨夜一体何があったんだ?!」
海野桜は突然おかしくなった。
彼の緊張が感じられた。彼は昨夜のことが彼女の一時的な衝動だったのではないかと恐れているのだろう。
でも彼がこんなに緊張して慎重になっているのを見ると、彼女も胸が痛んだ。
海野桜は突然手を伸ばして、彼の裸の引き締まった上半身を抱きしめた。すぐに彼の体が少し硬くなるのを感じた。
海野桜の心はさらに苦しくなった。
彼女は顔を上げて彼の顎にキスをし、微笑んだ。「東山裕、私は自分が何をしているのかよく分かってるわ。」