第410章 あなたが動いて——

これは海野桜が初めて東山裕が食事をする姿を見た時で、こんなにもきれいに食べ尽くすとは!

「次もまた作ってくれ!」東山裕はまだ物足りなさそうに要求した。

海野桜は驚いて、「そんなに好きなの?」

「ああ!」

東山裕は目を輝かせて、「海野桜が作ったものなら、何でも好きだ。確かに味はあまり良くないけど、でも食べていると食欲が湧いてくる!」

海野桜は彼が本当に言葉巧みだと気づいた。

言っていることは正直な事実なのに、それでも彼女にとって甘い言葉に聞こえる、まさに口説きの達人だ。

彼のことをよく知らなければ、彼が女性を口説くタイプの男だと疑ってしまうほどだ。

しかし彼はそうではなく、女性に対してとても冷淡で、むしろ誰に対しても冷淡だった。

彼女に対してだけ、こんなに甘い言葉を言うのだろう……