東山秀造は断固として話さず、海野桜もそれ以上聞くのをやめるしかなかった。
彼の言うとおりだった。東山裕でさえ対処できない人物なら、彼らにはきっと何もできないし、接触することもできないだろう。
だからこそ、東山裕が来栖家と協力しようとしていたのも無理はない……
鴻野美鈴は心配そうに言った。「私たちと関係がないわけないでしょう、裕はすでに巻き込まれているのよ!」
東山秀造は表情を引き締めた。「確かに巻き込まれてはいるが、私たちはただの目立たない小さな存在だ。もちろん、大きなリスクもあるから、今回の危機が無事に過ぎ去ることを祈るしかない」
言うのは簡単だが、彼らは皆わかっていた。
無事に乗り切るのは、難しい……
しかし彼らには何もできなかった。
具体的に何が起きたのかもわからず、東山裕がどこにいるのかもわからない。彼らには手の打ちようがなかった。
それに、むやみに行動することもできず、かえって邪魔になることを恐れていた。
今できることは、情報を集め、状況を見て行動することだけだった。
この任務は当然、東山秀造に任されることになった。
鴻野美鈴は海野桜に東山邸に残るよう言った。何かあったときに、みんなで相談できるように。
海野桜は異議なく、ここに留まって住むことに同意した。
ここにいれば、東山裕の情報をいち早く知ることができるから……
……
海野桜が泊まっていたのは、かつての東山裕の部屋だった。
ベッドの頭に寄りかかり、彼女は何度も何度も携帯電話で東山裕に電話をかけていた。
【申し訳ありません、お掛けになった電話の電源は切られています……】
電話の向こうは、いつも機械的な、変わることのない女性の声だった。
あの専用の番号にさえ、つながらなかった……
東山裕は出かける時、何かあったら彼女だけのための専用番号に電話するようにと言っていた。
しかし今、その番号にもつながらない。
だから東山裕、あなたは一体どうしたの?
どうか危険なことになっていませんように……
海野桜は一晩中眠れず、夜が明けてようやくうとうとと眠りについた。
しかしすぐに、彼女は目を覚ました!
階下で誰かが話しているのが聞こえたような気がしたからだ……
海野桜はすぐにベッドから飛び起き、ドアを開けて確認しに行った。