鴻野美鈴も悲鳴を上げた。「裕、やめて!」
しかし東山裕は再び殺意を込めて東山輝昭に手を下そうとした……
「東山裕、やめて!」海野桜は突然彼を強く抱きしめ、パニックになって叫んだ。「東山裕、お願いだからこんなことしないで、私を怖がらせないで、無茶しないで!」
東山裕の体が固まり、腕も宙に浮いたまま動かなくなった。
恐れているわけではなく、ただ……
「東山裕、こんなことしないで、あなたに何かあったら嫌だわ。彼を殺さないでくれる?」海野桜は恐怖に震えながら懇願した。
そうだ、今東山輝昭を殺せば、後顧の憂いを断つことができる。
でも海野桜は彼の行動に恐怖するだろう。
彼が捕まれば、彼女も悲しみ苦しむだろう。
どうして彼女にそんなことができようか……
少なくとも今は、無茶はできない。そう考えると、東山裕の手はゆっくりと下がり、目に宿っていた激しい殺気も徐々に消えていった……