主に彼女が怖がっても無駄だったからだ。
彼女が目を覚ました時には、すでに飛行機に乗っていて、フランスへ向かう途中だったのだから。
だから来たからには受け入れるしかなく、彼女にできることは東山裕が彼女を救いに来るのを待つことだけだった。
東山輝昭は彼女がまだ窓の外の白い雲を眺める余裕があるのを見て、眉を上げて笑いながら言った。「怖くなさそうだね?僕があなたを連れ去って、売り飛ばして、一生家に帰れなくしても怖くないの?」
海野桜は彼を見て、淡々と尋ねた。「あなたはそんなにお金に困っているの?私はそんなに価値のある人間じゃないわ」
東山輝昭は笑い出した。「君は価値がないかもしれないが、東山裕にとっては非常に価値がある。君は彼の宝物だ。もし君がいなくなったら、彼はきっと死んでしまうだろうね?」