海野桜は少し困った様子で言った。「10分では足りないかもしれないけど…」
「じゃあ、中に入って探すよ!」東山裕はまばたきもせずに言った。
海野桜:「……」
彼女はやはり10分以内に急いで出てきた方がいいだろう。東山裕が中に入ってきたら、我慢するしかない!
海野桜は急いでトイレに行き、東山裕はオフィスデスクに座って、カウントダウンを始めた。
実は彼もこんなに用心深くしたくはなかった。
今日はどうしたことか、少し落ち着かない気分だった。
おそらくここ数日の緊張が、今になって疲労反応として現れているのだろう。
東山裕がそう考えていると、突然めまいを感じた。
次の瞬間、脳に鋭い痛みが走った——
目の前が一瞬真っ暗になった。
東山裕は深呼吸をして、こめかみをさすると、頭がだんだんはっきりしてきた。