しかし彼がここに来たのは、東山一族に復讐するためではないのか。
東山裕は厳しい表情で首を振った。「彼が具体的に何をしようとしているのかはわからないが、決して善人ではない!」
「うん!」海野桜はうなずき、彼の意見に強く同意した。
そのとき、東山裕の携帯電話が突然鳴り、電話は東山輝昭からだった!
東山裕は東山輝昭の番号を登録していなかったが、以前資料で一目見ただけで覚えていた。
東山裕の目が一瞬光り、冷静に電話に出た。
向こうからは案の定、東山輝昭の声が聞こえてきた。「東山裕、私が持っている城西の所有権と東山の5パーセントの株が欲しいか?」
電話に出るなり、彼は直接尋ねてきた。
東山裕は目を細め、無駄話をせずに直接聞いた。「条件は何だ?」
「海野桜を私によこせ」東山輝昭は笑いながら気軽に言った。まるで人間ではなく、価値のないものを要求しているかのように。
しかし彼が欲しがっている人物は、東山裕が最も大切にしている宝物だった!
まさか彼がこんな要求をするとは!
冗談でもダメだ!
東山裕は一瞬で、携帯電話を握りつぶしそうになった!
海野桜は緊張して傍に立っていた。東山裕は誰からの電話かを言わなかったが、彼女には感じ取れた。きっと東山輝昭だ。
今、東山裕の表情が冷たくなるのを見て、海野桜はますます好奇心を抱いた。東山輝昭は一体何を彼に言ったのだろう。
東山裕は冷たい笑みを浮かべ、目の光は極めて冷酷だった。
「東山輝昭、お前は自分を買いかぶりすぎだ。お前には私と条件を交渉する資格などない!お前が持っているものは、私にとって何の価値もない。欲しいなら、自分で持っていて老後の面倒を見るがいい!」
「ハハハ……」向こうの東山輝昭は笑い出した。傲慢な笑い声で、彼の言葉は人を激怒させるものだった。
「お前は私の持ち物に興味がないかもしれないが、私はお前の持ち物に非常に興味があるんだ。海野桜がお前にとってそれほど重要なら、私はますます諦められないな。どうしようか?」
「東山輝昭、私を殺させたいのか!」東山裕は陰鬱に警告した。