第489章 お前の母親は私の手の中にある

2日後、彼女が同意しなければ、彼は彼女を売り飛ばすつもりだ!

東山輝昭は幼い頃から闇市場で生きてきたので、彼女をどこに売れば東山裕が一生見つけられないかを確実に知っている。

そして疑う余地もなく、彼女が売られた後の悲惨で恐ろしい運命が待っている。

売られた女性は、死んだ方がましだ!

海野桜は決心した。もし東山輝昭が本当に彼女を売り飛ばそうとするなら、自殺するつもりだ!

東山裕のことは諦めがたいが、惨めに生きることもしたくない。

海野桜は決心を固めると、もう何も恐れなくなった。どうせ最悪死ぬだけだ、彼女は死んだことがないわけではない……

ただ、今度死んだら、二度と生まれ変わることはないと分かっていた。

でも今生では、彼女は思い切り愛し、また命を懸けて激しく愛されたのだから、それで十分だろう。

海野桜が考え事をしているうちに、飛行機はついにフランスに到着した!

しかし飛行機を降りるとすぐに、東山輝昭は悪いニュースを受け取った。

東山裕が密かに彼の母親を誘拐したのだ!

東山輝昭の母親である藤原恭子はずっとフランスに住んでおり、誰も彼女の居場所を知らなかった。

東山裕はどうやって知ったのだろう?

調査するにしても、こんなに短時間で調べ上げ、さらに人を誘拐することなど不可能なはずだ!

唯一の説明は、彼が手を下す前に、東山裕がすでに密かに行動していたということだ。

東山輝昭には理解できなかった。なぜ東山裕はそんなに早くから準備していたのか。

まさか彼は本当に、自分が彼らに手を出すことを知っていたのだろうか?

それでも、彼が母親を捕まえて脅すとは思えない。東山裕は彼とは違い、光の当たる社会で生きている人間だ。

何か問題が起きれば、まず警察に頼ろうとするはずで、自分で解決しようとはしないだろう。

ましてや違法な手段なんて……

だから東山裕のこの一手は、東山輝昭にとって非常に意外で理解しがたいものだった。

海野桜を捕まえれば、東山裕を自分の支配下に置き、復讐できると思っていた。

しかし予想外にも、東山裕は彼の母親を捕まえたのだ。

東山輝昭は情報を確認すると、顔色が非常に暗くなった。彼の計画が全て台無しになったからだ!

海野桜はこれらのことを知らなかった。東山輝昭は彼女に何も言わなかった。