しかし考えてみれば、彼女が橋本友香のことを心配しないようにするのは不可能だとわかる。
「行こう、中に入って買い物をしよう」東山裕はこれ以上その話題を続けず、彼女の手を引いて薬局に入った。
妊娠検査薬を買う時、海野桜は彼のために胃薬も数本選んだ。
胃薬を手に取りながら、東山裕の頭に突然ひらめきが走った。
彼はようやく、さっき柴田治人を見た時に何か変だと感じた理由がわかった。
柴田治人は前世で、重い病気を患っていたようだ……
東山裕はさっきの柴田治人の病気の様子を思い出し、自分の推測をますます確信した。
しかしこのことを直接柴田治人に言うわけにもいかない。何か彼に注意を促す方法を考えなければならない。
東山裕と海野桜が家に帰ると、海野桜はすぐにトイレに行って検査した。
東山裕はドアの外で待ち、数分後、海野桜が出てきた。
「どう?」彼は心配そうに尋ねた。
海野桜は悲しそうな顔をして、「まだ妊娠してない、どうしてまだ妊娠しないの?」
東山裕は心の中では少し落胆したが、表情には何も表さなかった。
彼は彼女を慰めた。「妊娠してなくても大丈夫、何を悲しむことがある?」
「もちろん悲しいわ、もし私が妊娠できなかったらどうする?」
「そんなこと言わないで!君が妊娠できないわけがない、まだ若いんだから、焦ることはない」東山裕はとても冷静に見えた。こういうことは通常男性の方が焦るものだが、彼はまったく焦っておらず、むしろ海野桜の方が焦っていた。
「でも私、赤ちゃんが欲しいの!」
「早く欲しがって何になる?二人の世界を壊すだけじゃないか?」東山裕は彼女を抱き寄せ、頭を下げて彼女の唇にキスをした。「二人だけでとても良いじゃないか、子供ができたら、君の注意はすべて子供に向くようになる」
海野桜は彼の腕の中で身を縮め、わざと彼をからかった。「あなたみたいなお父さんいないわ、自分の子供を嫌うなんて」
「そう、彼を嫌うんだ、海野桜は僕一人のものだけだ!」
海野桜はわざと彼とじゃれ合った。「私の子供を嫌わないで、もしかしたらあなたが嫌うから、子供が来ないのかもしれないわ」
東山裕は怒ったように目を見開いた。「子供はまだ影も形もないのに、もう彼のために僕を責めるのか、彼が生まれたらどうなるんだ!」