翌日、ダニエルはリジーに会うためにJCクロージングに向かった。受付では、彼の遊び人としての過去が災いして苦労していた。受付嬢に中に入れてもらうのは簡単ではなかった。
「こんにちは、ダニエル・ルートと申します。エリザベス・ジェームズにお会いしたいのですが」と、受付嬢の前に立って頼んだ。
受付嬢は来客リストを確認したが、彼の名前らしきものは見当たらなかったので尋ねた。
「業務でしょうか、それともプライベートでしょうか?」
「プライベートです」とダニエルは答え、身を乗り出した。受付嬢は彼との距離の近さに頬を赤らめたが、プロフェッショナルに対応した。
「申し訳ありませんが、彼女は大変忙しいのです」
「ビジネスです」とダニエルは自分の間違いに気付いて、すぐに立場を変えた。プライベートな理由だと、リジーが忙しければ時間を割いてもらえないことは明らかだった。これで終わりだと思ったが、受付嬢はさらに尋ねた。
「アポイントメントはお取りですか?」
「いいえ、でもビジネスです。彼女に私のガールフレンドのためのドレスをデザインしてもらいたいんです」とダニエルは咄嗟に思いついた。
受付嬢は彼を一瞥し、彼のガールフレンドは幸運だと感じながら、インターコムでリジーに連絡した。
「チャンスさん、ダニエル・ルートという方がいらっしゃいます。ガールフレンドのためのドレスデザインを依頼したいそうです」
「分かりました、通してください」とリジーは電話の向こうで答えた。ドレスのデザインという話を聞いて、その名前が聞き覚えのあるものだとは気付かなかった。
ダニエルが入室するやいなや、リジーは後悔した。「あなた!何の用?」と彼女はスケッチを磨きながら苛立たしげに尋ねた。ダニエルは感心したように部屋を見回して言った。
「素敵なオフィスですね。壁一面のデザインを見ていたら、退屈することなんてないでしょうね」
「何の用?」とリジーは真剣な表情で尋ねた。ロビンの友人を近づけたくなかった。ダニエルは彼女に微笑みかけた。彼女の真剣な態度に、さらに魅力を感じながら答えた。
「さっき言った通り、ガールフレンドのためのドレスをデザインしてほしいんです」
リジーは手を止め、ダニエルは今度こそ彼女の注意を引けたと感じた。