完全に混乱

トリスタンは即座に椅子から立ち上がった。

「よし、息子よ...私のオフィスで話そう」トリスタンはダックスに言った。そして、ベラの方を見た。「ベラ、よかったら上の階に行ってもいいよ。休める部屋があるから。ケーキについては、ジェフリーに上の階まで運んでもらうように頼むよ」

彼女が少し目を見開いて驚いた様子を見て、彼の唇にかすかな笑みが浮かんだ。

ベラは彼の目を見たときに心に奇妙な感覚を覚え、視線をそらした。

「ダメよ、ベルズ!集中を切らさないで!」彼女は心を落ち着かせようとしながら、心の中で自分を叱りつけた。

「ええ、わかりました」彼女は待つための個室が必要だと気づき、彼の申し出を受け入れた。かける必要のある電話があったのだ。

その後、ベラは彼らについて上の階へ向かった。

この家に来るのも、2階に上がるのもベラにとって初めてではない。以前ほど緊張することもなくなっていた。特にダックスが側にいるときは。

今彼女が気になっているのは、ダックスがトリスタンと話したいという話題のことだった。それが彼女の好奇心をそそった。

「あなたの部屋はここです。向かいの部屋は息子の寝室で、ここにいるときはいつでも使えます」トリスタンは何気なく説明した。

しかし、ベラは彼の言葉に一瞬言葉を失った。

少年の前でダックスのことを「私たちの息子」と呼ぶのを聞いて、安心感を覚えた。それを聞いてダックスの顔に笑みが浮かぶのが見えた。

「じゃあ、後でね、ベラ」トリスタンは別れを告げ、ダックスに自分のホームオフィスまで付いてくるよう頼んだ。

ベラは何かに気づいて、自分を落ち着かせるのに数分かかった。

「トリスタンは私のために特別な部屋を用意したの?なぜ...なぜそんなことを?」

ベラには理解が難しかった。ダックスのために部屋を用意したのは、彼が息子だから理解できた。

でも、なぜ彼女のためだけの部屋まで用意したのだろう?

ベラは眉をひそめながら、トリスタンのホームオフィスのドアをしばらく見つめた後、ようやくトリスタンが彼女のものだと言った寝室の方を見た。

気がつくと、彼女はドアの前に立っていた。

ゆっくりと手を伸ばしてドアを開けた。ドアが開いたとき、彼女が目にしたものに衝撃を受けた。

「こ、これは—」ベラは感情の波に圧倒された。