「勇気を出して」

「彼女に電話をかけるべきだろうか?」

レオは携帯電話を見つめながら、独り言を呟いた。

「今、ダナを誘ったら承諾してくれるだろうか?急すぎるかな?僕が彼女に好意を持っているのがバレバレになってしまうかもしれない…」

「何やってんだよ、レオ?落ち着けって!お前は頭もいいし、金持ちだし、イケメンじゃないか!これは仕事の責任とは違って、たかが些細なことだろ。ただダナに電話をするだけなんだ…」

彼は再び目を閉じて深呼吸をし、混乱した心を落ち着かせようとした。

レオがこれほど不安で心配になったのは、以前の彼女が些細な理由で突然別れを切り出してきて以来だった。彼女は忙しすぎて付き合う時間がないからと別れを求めた。関係に十分な注意を払えないのは自分勝手だと感じたのだと。

当時、彼は彼女の願いを受け入れた。自分も会社で忙しく、仕事中に彼女のことを考える余裕もなかったことを実感していたからだ。

しかし数日後、元カノが実は別の男性と付き合っていたことを知る。そしてその相手は、彼よりもずっと裕福な男性だった。

一年前のその出来事以来、裏切られ騙された経験から、レオは恋愛を控えることを決意した。どれくらいの期間になるかは分からないが、今は恋愛関係が優先事項ではなかった。

浮気される可能性のある女性と出会うことを恐れ、そのトラウマに苦しんでいた。

しかし、全てはダナ・コリンズと出会ったことで変わった。

彼女への感情は予想外のものだった。この女性は、秘書として面接した日から、彼の注目を集め、そして息をのむような存在となっていた。

しかしレオはダナに対する本当の気持ちを見せるのを恐れていた。非プロフェッショナルだと思われ、彼女を怖がらせてしまうのではないか、そして何より自分が彼女のボスだということを気にしていた。

結果として、彼は彼女への好意を表に出すことはなく、二人の関係はボスと秘書という厳密な職業関係に留まっていた。

「お前バカだな、レオ。分かってないのか?彼女がまだ独身のうちに気持ちを伝えないと。そうしないと、誰かが先に動いて彼女を奪っていくぞ!ボスだからって何だっていうんだ?彼女と同じように、お前だって独身じゃないか。他の男たちなら、独身だろうが既婚だろうが、二の足を踏まずに飛びついているはずだぞ!」