045 救出成功

「これは矢崎粟が自分でお金を払って雇った人なんじゃないの？まるで本物みたいな演技ね！」

「みんなが村の近くで子供を探しているのに、なぜ彼女だけが山の中を探すの？本当に変わった行動ね。」

「みんな、偏見を持って人を見るのはやめましょう。私は矢崎さんはとても良い人だと思います。自立していて、できる範囲で弱者を助けているじゃないですか。」

「この人は良い人には見えないわ。矢崎粟は軽々しく彼の言葉を信じないほうがいいわ。」

......

ネット上でユーザーたちがどう議論しているかは矢崎粟には分からなかった。

矢崎粟が男の指さす方向を見ようとした瞬間、異変が起きた。

男が突然矢崎粟に襲いかかってきた。まるで凶暴な狼のように素早く。

その動きを見た小島一馬とカメラマンの心臓は高鳴った。

矢崎粟が倒されると思った瞬間、彼女は素早く体を横に避け、男との距離を取った。

「へぇ、女一人で真夜中に雨の中を山に入るなんて、どうしてそんな大胆なことができるのかと思ったら、少しは格闘技を心得てるってわけか！」男は不気味な声で言った。

「矢崎粟、避けて！！」

男の手に銀色の光が走るのを見て、小島一馬は手首ほどの太さの木の棒を拾い上げて飛び出した。

しかし、その男は驚くほど素早く彼の攻撃を避け、手にしたナイフで矢崎粟を刺そうとした。

人身売買犯も馬鹿じゃない。自分より背の高い小島一馬よりも、小柄な矢崎粟の方が扱いやすいと分かっていた。

「なんてこと！これは本気？？」

「逃げて、早く逃げて！」

「矢崎粟、何をぼんやりしているの？早く逃げて！」

「矢崎粟は本当に足手まといね。小島一馬が命がけで助けに来てるのに、ただ見てるだけで、今や刺されそうになってる！」

「だから矢崎粟は良い人じゃないって言ったでしょ。彼女とチームを組むと危険な目に遭うのよ！」

視聴者たちが矢崎粟の身の安全を心配していた時、彼女は突然素早い動きで男のナイフを避けた。

男がその予想外の出来事に驚いた瞬間、彼女は素早く脚を上げ、力強い横蹴りを男の頭部に叩き込んだ。

頭部への攻撃により、男は一時的に意識を失った。

「！！！」

「！！！」

小島一馬とカメラマンはこの予期せぬ展開に衝撃を受けた。

小島一馬はまだ良かった。短い驚きの後すぐに駆け寄り、矢崎粟の状態を心配そうに尋ねた。