「止まって!」矢崎粟は急いでいた足取りを慎重にした。「あそこに誰かいる」
小島一馬は矢崎粟が指さす方向を見ると、確かに前方の大きな木の後ろに土色の布切れが見えた。
観察すると、土色の布切れは時々見える面積が変化していた。このことから、木の後ろにいるのは人間で、おそらく剛士を連れ去った誘拐犯だと思われた。
【マジか?本当に見つかったの?】
【矢崎粟が本当に占いができるなんて思わなかった!】
【ふん、山には一本道しかないんだから、そこを探せば必ず見つかるよ。これは単なる運が良かっただけさ!】
「あそこにいる人が誘拐犯かどうかわからないけど、念のために計画を立てましょう」矢崎粟は小島一馬とカメラマンを見た。
「もし木の後ろにいる人が本当に誘拐犯なら、私たち三人が一緒に現れると、追い詰められて剛士を人質に取って危害を加えるかもしれない」小島一馬は心配そうに言った。