「今日は君のおかげで、これからの夕食は美味しい料理が食べられるし、やっと薪割りの苦労から解放されるわ!」森田美並は嬉しそうに言った。「誰かさんが薪を盗むこともなくなるわね!」
ここでいう「誰かさん」が誰を指しているのか、その場にいる全員が分かっていた。
「みんなが剛士くんを探すのを手伝ってくれたからよ。私一人の功績じゃないわ」矢崎粟は笑いながら言い、そして小島一馬の方を向いて、「あなたも見たでしょう?剛士親子の生活状態があんなに悪いのに、どうしておばあさんの誘いを受けたの?」
矢崎粟の質問は皆の疑問でもあり、今や全員が小島一馬を見つめ、彼の説明を待っていた。
「ただ彼らを助けたいだけだ」小島一馬は落ち着いた声で、それだけを言った。
「???」
皆は困惑した表情で、お互いを見合わせながら、小島一馬からの更なる説明を待ち続けた。
「本当に?」矢崎粟は疑わしげな目つきで尋ねた。
小島一馬は頷いて、「見ていれば分かるさ」と言った。
丸一日の休養を経て、翌日、皆は元気を取り戻して仕事に戻った。
今日の任務は、村の共同果樹園で村人たちの果物摘みを手伝うことだった。
今回の果物摘みもグループ分けして行われ、今日一番多く果物を摘んだグループが、昼食の食材を優先的に選べることになっていた。
食材は依然として各チーム一つの肉と三つの野菜を選べるが、量が異なり、一部多く一部少なかった。
皆が初めて果物摘みを経験することを考慮して、番組スタッフは経験豊富な村人を特別に招き、適格な果物の見分け方を説明してもらい、最後には各チームの適格な果物の数も彼が集計することになっていた。
村人の丁寧な説明を受けて、矢崎粟のグループはすぐに果物を見分けるコツを掴んだ。矢崎美緒のグループも大体理解したところで、競争が正式に始まった。
果物摘みは一見簡単そうに見えるが、実際はかなりの重労働だった。
競争が始まってまだ一時間も経っていないのに、皆は既に何時間も働いているような感覚だった。
両腕を頻繁に上げ続けなければならないため、すぐに腕が疲れてしまう。
「美緒、無理しないで、少し休んだら?」矢崎若菜は果物を摘み続けようとする矢崎美緒を心配そうに制止した。