053 小島一馬、勇ましい

小島一馬かっこいい!小島一馬の旗を掲げよう!!

岡田淳は矢崎若菜が言葉も出ないほど怒っているのを満足げに見て、昨日受けた腹立ちもだいぶ晴れた気がした。

矢崎美緒は小島一馬に守られている矢崎粟を見て、瞳の色が暗くなった。

心の中の嫉妬の感情で、彼女は狂いそうになっていた。

なぜ!なぜいつも小島一馬は矢崎粟のために立ち上がるの?彼女は三流の女優なのに、なぜ小島家の御曹司の注目を集められるの!!

矢崎粟は顔色の悪い矢崎美緒と矢崎若菜を一瞥し、小島一馬の後ろから出てきた。

「申し訳ありませんが、番組の公平性を保つため、食材の優先選択権は譲れません」矢崎粟は申し訳なさそうな表情を浮かべ、「矢野スターたちなら、みんなの手本となるために、少しの犠牲を払ってくれると信じています」

「……」矢野常は矢崎粟の言葉に言い返せず、最後には話題を変えるしかなかった。「粟、早く食材を選びに行きなさい。君たちが選んだら、私たちも料理の材料が取れるから」

矢崎粟のどこかで聞いたような言葉を聞いて、矢崎美緒は自分への当てつけだと分かったが、彼らが楽しそうに先に食材を選びに行くのを、悔しそうに見つめるしかなかった。

今日、制作チームが用意した食材は、スペアリブ、人参、トウモロコシ、豆腐だった。

それぞれの食材には大小二つの量があり、矢崎粟たちは迷わず量の多い方を選んだ。

食材を選び終わると、伊藤卓はすぐに急いで薪を割りに行った。

森田輝は後ろから大声で注意した。「少なめでいいよ、今日の分だけで十分だから。他人の分まで用意する必要はないでしょ!」

森田輝が最後の言葉を言った時、ちょうど矢崎美緒たちと目が合ったが、彼女はちらりと見ただけですぐに視線を逸らした。

まるで一瞬でも見るのが耐えられないといった様子だった。

森田輝のこの明らかな嫌悪感に、矢崎美緒は心中穏やかではなく、まるで誰かに虐められたかのように唇を噛んでいた。

「ひどすぎる……」矢崎若菜が抗議しようとした時、矢崎美緒に服を掴まれた。

矢崎美緒は涙目で、可哀想そうに言った:「お兄ちゃん、大丈夫よ。森田さんは多分わざとじゃないわ」

矢崎若菜は彼女の様子を見て心が痛み、優しい声で慰めた。「私たちの美緒は本当に優しいね。彼らは美緒が優しくて気にしないから、どんどん調子に乗って、やりたい放題なんだ!」