052 美しい容姿と優しい心

試合は朝八時から正午十一時まで続いた。

試合終了の合図が鳴り響くと、会場にいた出演者たちはほっと胸をなでおろした。

最初に果物の摘み方を教えてくれた村人が、他の五人の果樹園で長年働いている村人たちを率いて、果物を丁寧に検査し、両チームの成績を計算し始めた。

最終的に不合格の果物を除いて、矢崎粟のチームが二個の差で勝利を収め、食材を優先的に選ぶ権利を獲得した。

矢崎美緒のチームの不合格の果物は、ほとんどが彼女のかごから出たもので、彼女は今、黙り込んでいる他の三人に向かって、とても面目が立たないと感じていた。

先ほどの説明を聞いている時、彼女は上の空で、果物を摘むのは簡単だと思い込んでいたため、農民から授業を受けることを軽視していた。

三人の落胆し悔しがる表情を見て、矢崎美緒は唇を噛みながら数歩前に出て、食材を選びに行こうとしていた矢崎粟を引き止めた。

「粟、私たちに先に食材を選ばせてもらえない?」矢崎美緒は目に涙を浮かべ、とても可哀想そうに見えた。

しかし矢崎粟は彼女のそういう手には全く乗らず、意地の悪そうな表情で反問した。「理由は?」

矢崎美緒はすぐに言った。「お兄ちゃんたちはもう何日もちゃんと食事を取れていないの。これからもたくさんの仕事があるのに、このまま続けたら体を壊してしまうわ。」

矢崎粟の動じない表情を見て、矢崎美緒は一言を言い放ち、その言葉は矢崎粟とそのチームメイトたちの怒りを買うことになった。

「粟は優しい子だから、同じチームの出演者が食事不足で体調を崩すのを見過ごすことはできないでしょう!」矢崎美緒は純真な表情で、まるで世間知らずの少女のようだった。

他人がどう見ようと、矢崎粟は彼女の目に脅しの意味を見て取った。

今回最初に口を開いたのは、率直な性格の森田輝ではなく、いつも温厚な伊藤卓だった。「あなたの算段は、こんなに離れていても聞こえましたよ。矢崎美緒さん、これは田舎でのリアリティショーです。見どころは芸能人が労働を通じて衣食を得ることなのに、あなたはそれを労せず得ようとしているんですか?」

「そうよ、あなたはこの番組の公平性を壊そうとしているのよ。」森田輝は素早く伊藤卓の言葉に続けた。「不労所得は決して良い美徳じゃないわ。あなたは公人として、そんな行動は良くない価値観を広めることになるのよ。」