【台本がこうなってるの?小島一馬があのナイフで木の皮を切り裂いたけど、本物のナイフだってことがわかるわ。しかも凄く鋭いし、うっかりすると人が死んじゃうかもよ!】
【これは生放送よ。テレビを見るのに目玉が付いてないの?】
【何を喧嘩してるの?私が警察の公式アカウントに@して、あなたたちの目が本当に見えてないのか確認してもらおうか。】
小島一馬のファンたちは一度動き出すと、反論する人たちを完全に黙らせた。次々と投稿される証拠は、悪意のある非難をする人たちが事実を歪めて言い訳することすらできないほどだった。
小島一馬のファンたちは今回、悪意のあるネットユーザーの自信を完璧に打ち砕いた。同時に、他の出演者のファンやネット上の一般視聴者たちの、若菜、美緒、矢野常に対する好感度も程度の差こそあれ下がっていった。
矢崎美緒たち三人はまだそのことを知らず、先ほどの出来事の後、矢崎若菜は妹の分の仕事も引き受けていた。
最初は、彼らのチームは三人しか働き手がいなかったものの、矢崎粟たちのチームにそれほど遅れを取っていなかった。しかし時間が経つにつれ、体力も消耗していき、彼らのグループの進度は大きく後れを取ることになった。
矢崎若菜と矢野常がスピードを上げて必死に追いつこうとしても、全員が力を出し切っている矢崎粟たちには及ばなかった。
岡田淳は歯を食いしばって、痛みで疲れ切った両腕で果物を摘み続けながら、日陰で水を飲んでいる矢崎美緒を見て、心の中での不満が募っていった。
同じチームのメンバーなのに、なぜ矢崎美緒だけが楽に横で座っていられて、自分は進度を追いかけるために必死に働かなければならないのか?
汗だくになって働く矢崎若菜をそっと見やりながら、岡田淳はこの不満を心の中に隠すしかなかった。
矢崎家に逆らうことなど、できるはずもなかったから。
歯を食いしばってさらに数個の果物を摘んだ後、岡田淳はついに我慢できなくなった。「少し休憩しませんか?」
しかし矢崎若菜は考えるまでもなく、すぐにその提案を却下した。「だめよ。矢崎粟たちはもうあれだけ摘んでるのよ。食材を優先的に選びたいなら、私たちは一瞬たりとも休めないわ。むしろスピードを上げないと!」