032 竹籠を編む

矢崎弘は片方で怒っていたが、矢崎粟の方では既に新しい仕事を始めていた。

昨日は草むしりで、今日は村の老職人について竹かごの編み方を学び、今日編んで明日町で売るのだ。売り上げは全て彼らのものとなり、食料品や生活用品の購入に使え、その使い道は彼ら次第だった。

矢崎粟は目の前のおじいさんが素早く竹ひごを編んでいく様子を真剣に見つめ、心から感心した。竹ひごは処理済みとはいえ、手への負担は大きかったが、おじいさんは手袋もせずに痛みを恐れることなく、器用に素早く編んでいく。これは数十年の経験があってこそ到達できる域だった。

他の人々もおじいさんの手さばきを目を見開いて見つめ、手にした竹ひごをどう扱えばいいのか分からない様子だった。

仕方なく、みんなはおじいさんにもう一度ゆっくりと教えてもらい、それから実践を始めたが、学んだことをうまく活かせない様子だった。