065 パフォーマンス

矢崎粟たちがキッチンから出てきたとき、先に出ていった矢崎美緒たちがまだ帰っていないことに気づいた。彼らは中庭の石のテーブルの周りに座って、まるで待っているかのようだった。

「監督、来ましたよ」岡田淳は矢崎粟たちを見て、すぐに林監督に知らせた。

林監督は矢崎粟を見るなり笑顔を浮かべ、彼らを呼び寄せた。「みんな揃ったところで、お知らせがあります」

全員が疑問の表情を浮かべながら彼を見つめた。

「皆さんもご存知の通り、この村には高齢者と子供が多いんです。番組制作チームは、今回の撮影への感謝の意を込めて、番組の最終日に村の皆さんのために公演を準備することにしました」林監督は一同を見渡しながら言った。「この公演は皆さんに担当していただきます」

続いて林監督は2つの投票箱を取り出し、「以前と同様に二つのチームに分かれてもらいます。当日は村民一人一人に赤い紙を配り、投票してもらいます。最も多くの票を獲得したチームには、制作チームが小さな願いを一つ叶えることができます」と説明した。