066 影絵芝居

「この屋敷は私の祖父の父が建てたものです」老人は皆を庭園の東屋に案内して座らせ、台所からお茶セットと果物を持ってきた。

「おじいさんのお父さん……」森田輝は計算して、さらに驚きの表情を浮かべた。「それはもう100年近い歴史があるということですか?」

「そうです」老人は皆にお茶を注ぎながら言った。「さて、今日は何の用件でしょうか?」

「無用の訪問なし」という諺の通り、老人は遠慮なく直接尋ねた。

矢崎粟は笑顔で答えた。「本当に何も先生の目は逃せないですね。実は今回私たちが来たのは用件があってのことです。番組チームは最終日に村の皆さんのために公演を準備しようと思っています。村人から先生が口技という芸能の伝承者だと聞いて、私たちの公演に参加していただきたいと思いまして」

「村人のための公演ですか?それなら検討の余地はありますね。ところで、どんな演目を考えているんですか?」老人は興味を示した。

「影絵芝居です」小島一馬が口を開いた。「影絵芝居と口技を組み合わせた形で演じたいと考えています」

元々彼らは無形文化遺産の伝承者を探しに来ただけだったが、道中で村人から、この無形文化遺産が口技だと聞き、皆で相談して影絵芝居の形式と口技を組み合わせて物語を演じることにした。

「影絵芝居か……もう何年も誰からもその言葉を聞いていなかったな。最後に聞いたのは小学生の頃かな?今はもう50代だというのに、本当に時が経つのは早いものだ」老人は回想に浸り、懐かしそうな表情を浮かべた。

回想に浸る老人を見て、一同も急かすことなく静かに待っていた。

「今では影絵芝居は人々の視界から徐々に消えつつあるのに、君たちがまだ覚えていてくれるとは、感心だよ」老人の口調には過去への懐かしさが溢れていた。

矢崎粟は首を振って、「私たちはただ、このような素晴らしい伝統文化をもっと多くの人に知ってもらい、理解してもらいたいんです。時代の発展とともに消えていってほしくないんです」

老人は大笑いして一同を褒めちぎった。「いい子たちだ、みんないい子だ!それで、影絵人形はどこで手に入れるつもりかね?」

影絵人形は影絵芝居の要であり、最も制作が難しい部分でもある。

「笑われるかもしれませんが、私たちで作ろうと思っています」矢崎粟は少し恥ずかしそうに言った。