とある辺鄙な小さな町。
その町で一番高い山の上に、壮大な道院が建っていた。
今、院内の多くの道士たちと弟子たちが大きな会議室に集まり、スクリーンに映し出された映像に釘付けになっていた。
その映像の主役は、千里も離れたところでバラエティ番組を収録している矢崎粟だった。
本来、彼らの道家学院では生徒たちにこういったバラエティ番組を見ることを推奨していなかったが、前回矢崎粟が占いで人を救った出来事があまりにも話題になったため、道家連盟の大師たちはこれを良い教材だと考え、傘下の学院に暇な時間にこのバラエティ番組を弟子たちに見せて、学んだことを実践するよう促すことにした。
生配信を見ていた若い弟子の一人が、隣の師匠に小声で尋ねた。「師匠、どうしてコメント欄では皆、矢崎粟と矢崎若菜がいとこ同士だと言っているんですか?私にはそうは見えないんですが。」
その弟子の師匠は、白髪まじりの髭を生やした年配の道士だった。
老道士は落ち着いた様子で質問に答える代わりに、若い弟子に問い返した。「では、お前は二人がどういう関係だと思うのか?」
質問したのに逆に質問される形となった弟子は急に緊張し、おそるおそる答えた。「私は...二人は実の兄妹だと思います。」
老道士はその言葉を聞いて少し驚いたように振り向き、若い弟子は不安になった。
若い弟子は我慢できずに尋ねた。「師匠、私の答えは間違っていますか?」
今、彼は本当に自分の答えが間違っていて、師匠に平常点を引かれるのではないかと心配していた。
若い弟子が極度に不安になっているとき、老道士が口を開いた。その声には喜ばしげな笑みが含まれていた。「よく見ていたな。確かに彼らはいとこではなく実の兄妹だ。平常点を2点加えよう。」
若い弟子は驚きと喜びで目を見開き、老道士に感謝の言葉を述べながら、周りから羨ましそうな視線を送る同門たちに得意げな表情を見せた。
若い弟子は得意になった後、老道士にもう一つ質問した。「師匠、矢崎さんを手伝ってもいいですか?」
老道士はすぐに弟子の要請を許可した。結局のところ、これも功徳を積む行為であり、弟子の今後の修行に役立つことだからだ。