とある辺鄙な小さな町。
その町で一番高い山の上に、壮大な道院が建っていた。
今、院内の多くの道士たちと弟子たちが大きな会議室に集まり、スクリーンに映し出された映像に釘付けになっていた。
その映像の主役は、千里も離れたところでバラエティ番組を収録している矢崎粟だった。
本来、彼らの道家学院では生徒たちにこういったバラエティ番組を見ることを推奨していなかったが、前回矢崎粟が占いで人を救った出来事があまりにも話題になったため、道家連盟の大師たちはこれを良い教材だと考え、傘下の学院に暇な時間にこのバラエティ番組を弟子たちに見せて、学んだことを実践するよう促すことにした。
生配信を見ていた若い弟子の一人が、隣の師匠に小声で尋ねた。「師匠、どうしてコメント欄では皆、矢崎粟と矢崎若菜がいとこ同士だと言っているんですか?私にはそうは見えないんですが。」