094 白眼狼

この投稿が出てから二日後、#矢崎粟は白眼狼だった##矢崎粟は恩を仇で返した#などのトピックが急上昇ワードになった。

これを見た矢崎弘は、さらにアシスタントに指示して話題を盛り上げるために流量を購入した。彼は矢崎粟に「矢崎若菜の従妹」というレッテルを確実に貼り付けたかったのだ!

矢崎泰は配信ルームで矢崎粟のパフォーマンスを見ていたが、突然矢崎粟を中傷する言葉に目を刺されるような思いをした。

彼は表情を冷たくして、隣の副監督に尋ねた。「一体どういうことだ?なぜ粟をこんなに中傷する言葉が多いんだ?」

矢崎泰から発せられる恐ろしい威圧感に、副監督は額に冷や汗を流しながら、言葉を詰まらせて答えた。「あの...おととい突然、矢崎さんが矢崎若菜の従妹だという投稿が現れまして...そして矢崎若菜にリソースを要求して断られた後、関係が悪化し、それで矢崎若菜が最も可愛がっている妹の矢崎美緒を標的にし続けているという...」

矢崎泰の極めて冷静な視線の下で、副監督はもう話を続けられなくなり、最後は黙ることを選んだ。

矢崎泰もそれ以上追及せず、監督に頼んで矢崎粟を部屋に呼び、他のスタッフを退出させた。

矢崎泰は何も言わず、ただその投稿を開いて矢崎粟に渡した。

「これは間違いなく次兄の仕業だな」矢崎泰の声は氷のように冷たかった。「ネット上ではもう君と矢崎若菜の従兄妹関係が既成事実になっている。このままでは君に不利だ。今すぐ人を使って話題を下げるべきか、それとも自分で解決する考えがあるのか?」

矢崎粟は顔を上げて、兄の心配と気遣いに満ちた瞳を見つめ、心が温かくなった。

彼女は兄に出会えて本当に幸運だった。兄のおかげで、矢崎家の人々が矢崎美緒に対するように、自分も無条件に愛されることができるのだと知った。

矢崎粟は突然矢崎泰の腰に抱きつき、小猫のように彼の胸元にすり寄った。「お兄ちゃん、私にすごく優しいね」

「バカだな、君は私の妹だ。君に優しくしないで誰に優しくするんだ?」矢崎泰は優しく彼女の頭を撫でた。「それに、君はそれだけの価値がある」