矢崎弘は滔々と話し続け、矢野常に口を挟む機会を与えず、彼の話も聞こうとしなかった。「それに、この件は完全に矢崎粟が引き起こしたことだ。彼女が最初から矢崎若菜と美緒に対して敵対的だったからこそ、後のことが起きたんだ。この問題は彼女が引き起こしたのだから、彼女が責任を取るべきだ!」
矢崎弘が矢崎粟を非難し続けるのを聞きながら、矢野常は幼い頃から知っているこの兄がこれほど荒唐無稽な人物だったのかと初めて感じた。
「私が反対だと言ったら?」矢野常は声を上げ、矢崎弘の滔々とした話を遮った。
「何だって?矢野常、美緒のことを...」矢崎弘は矢野常の返答を聞いて、信じられないという表情を浮かべた。
「矢崎弘、矢崎粟もあなたの妹だということを忘れないでくれ。」矢野常の声は何かの感情を抑えているかのように苦しげだった。