118 林紅子の心意

別のホテルに到着した矢野常は、今、矢崎粟が投稿した投稿を食い入るように見つめていた。

彼の顔に信じられない表情が浮かび、その後、徐々に表情が曇っていった。

彼は矢崎粟がここまで周到に準備できるとは思っていなかった。あの日の電話の時点で、彼女はすでにこの一手を計画していたのだ。彼女は自分の身を守るために、彼を切り捨てることも厭わなかった。

彼女は随分前から彼のことを警戒していたのだろうか?

その可能性を考えると、矢野常の心臓に鋭い痛みが走った。

どうしてこうなってしまったのか?

つい最近まで二人の仲は良かったのに、どうして急にこんな状況になってしまったのか?

矢野常が深い自己嫌悪に陥る前に、突然携帯が鳴った。電話に出た瞬間、マネージャーの林紅子の切迫した鋭い声が聞こえてきた。