147 在宅勤務

森村博人に応えたのは矢崎弘の沈黙だった。

しばらくして、矢崎弘はようやく妥協したかのように息を吐いた。「言ってみろ、何が欲しいんだ。」

森村博人はソファに座っている矢崎泰を見て、彼が何の意見も持っていないことを確認してから、矢崎弘に向かって言った。「私のチームメンバーを連れて行きたい。」

「それだけか?」矢崎弘は森村博人の条件がこんなに簡単だとは思わなかった。

森村博人は頷いた。「はい、そして彼らの退職届にサインしていただき、今後彼らに対していかなる圧力もかけないことを宣言していただきたい。」

「いいだろう、承知した。ただし、私がそれを全部やったら、録音は全部消してもらう。」矢崎弘は自分が損をする人間ではなかった。

「誠意を示すため、この録音は今すぐにでもご自由に処分していただけます。ただし、他のものについては申し訳ありませんが、ご要望にお応えできません。」森村博人は毅然として矢崎弘の目を見つめた。