157 取捨

話題が盛り上がってから、多くのネットユーザーは矢崎粟に出てきて正面から回答するよう求めていた。

ネットユーザーたちは矢崎粟が回答しないと思い込んでいたが、意外にも、矢崎粟は実際に回答を出した。

【私たちは当然潔白です。皆さんはネット上の件について心配する必要はありません。私と安藤綾は善因善果、悪因悪果を信じています。皆さん、どうか気長にお待ちください。必ず皆さんに説明させていただきます！】

このツイートが投稿されるや否や、安藤綾を含むスタジオのアーティストたちによって転載され、小島一馬、森田輝、伊藤卓までもが転載した。

ネットユーザーたちは矢崎粟がこれほど度量のある回答をするとは思わず、一時的に自分たちの判断に疑問を抱くようになった。

もしかして矢崎粟の言っていることは本当なのか？

安藤綾のこの件の真相は、ネットで噂されているようなものではないのか？

「善因善果、悪因悪果？」矢崎弘は矢崎粟のこのツイートを見て笑い出した。彼の予想は間違っていなかった。矢崎粟は玄学的な手段で安藤綾を助けようとしているのだ。

「次兄さん？」矢崎政氏は矢崎弘がなぜこのような反応をするのか分からなかった。「どうして急にそんなに嬉しそうなんですか？この状況を打開する方法を思いついたんですか？」

矢崎弘は口元を歪めて、「その通りだ。彼女の対応方法は予想通りだった。対策はもう立てている」

矢崎政氏は自分の次兄のことをよく理解していた。次兄が賢いことは認めるが、否定できないのは、次兄には賢い人によくある欠点がある——自負心が強いということだ。

「でも、この件はそう簡単ではないような気がします。罠かもしれませんよ？」矢崎政氏は少し不安だった。

矢崎粟の現在の行動パターンからすると、このように直接曖昧なツイートで回答するのは、常識的に考えておかしい気がする。彼は矢崎粟がまだ何か手を残しているような気がしてならなかった。

脚本家として、執筆のために長年心理学の本を研究してきた矢崎政氏の感覚は、今になって確かに役立っている。少なくとも人物の内面活動と行動を分析する際には、一般人よりもずっと正確だった。