矢崎弘は道家の公式アカウントの投稿を見て怒り心頭に発し、すぐさま責任者である森村五郎大師に電話をかけた。
森村五郎大師は以前、矢崎若菜と矢崎美緒の占いをした玄学の大家で、玄学界での威信は非常に高かった。
矢崎弘からの電話を受けた時、森村五郎大師はちょうど公式アカウントを無断で使用して投稿した二人の玄学大師を叱り終えたところだった。しかし、叱責は叱責として、実は彼も二人の大師のやり方を支持していた。
現在の公式責任者という立場上、森村五郎大師は矢崎弘の話を静かに聞き終えた後、すぐに投稿のことは知らなかったと説明し、独断専行した部下たちを厳しく叱責したと伝えた。
森村五郎大師は投稿を削除し、スタッフのミスだったという声明を出すことを提案したが、この提案は矢崎弘に拒否された。
この投稿はすでに大多数のネットユーザーに見られており、もしこの時点で道家が突然投稿を削除すれば、投稿を通じて観相学を学んでいるユーザーたちの不満を買うかもしれない。
そのような行為は紫音エンターテインメントの事態収拾に役立たないどころか、ユーザーたちに公式アカウントに削除を強要したと思われ、澤田友夏里と澤由香利への印象をさらに悪化させる可能性があった。
澤田友夏里と澤由香利という二つの金のなる木のイメージが公衆の面前で損なわれることは、矢崎弘が最も避けたいことだった。
道家の公式アカウントのこの投稿は矢崎粟にとって予想外の幸運だった。矢崎弘が特別な行動を起こさないのを見て、矢崎粟も森村博人に行動を起こさないよう指示し、引き続き紫音エンターテインメントの動向を監視させた。
矢崎粟は矢崎泰を通じて道家の責任者である森村五郎大師の連絡先を入手した。
森村五郎大師は矢崎粟から電話がくることを予見していたので、矢崎粟からの着信を受けても驚かなかった。
ただし、矢崎粟が直接お礼に伺いたいと申し出た時、彼は躊躇なくそれを断った。「そこまでご丁寧にしていただく必要はございません。今回二人の大師があなたを助けたのは運命的な縁でございます。直接のお礼は結構です。もし本当に二人にお礼をしたいのでしたら、心を込めて選んだ贈り物を送っていただければ十分です。」