矢崎粟のスタジオはすぐに軌道に乗り、新人や契約期間が満了して前の事務所に残りたくないタレントたちから次々と履歴書が届いていた。
矢崎粟は最近、山積みの履歴書の中に埋もれており、希望に合うタレントを早く見つけるため、スタジオを出るのがいつも遅くなっていた。
「社長、これをご覧ください」安藤綾の件が解決した後、青木月子は矢崎粟の元に戻って仕事を続けていた。
矢崎粟は彼が渡してきた履歴書を受け取り、一目見ただけで履歴書に貼られた写真に目が釘付けになった。「この人は矢崎美緒とどういう関係?」
写真の人物の顔立ちは矢崎美緒と五分通り似ており、特に鼻は全く同じ型から作られたかのようだった。
「昨日見かけた時点で既に身辺調査をさせましたが、田中凛という女性で、矢崎美緒とは何の関係もありません」青木月子は首を振った。