「この情報は提携している会社から得たものじゃないのか?なぜこんな状況になってしまったんだ?」実の妹にまたもや騙されたことを知った矢崎弘は、怒りのあまり高価な花瓶を机から投げ捨てた。
秘書は粉々に砕けた花瓶を見つめ、一瞬息を飲んだ。
その花瓶は彼が何年も食事を抜いて働いても手に入らないほどの値段のものだった。こうして壊れてしまうなんて、本当に心が痛む!
矢崎弘はしばらくして少し落ち着きを取り戻し、「矢崎粟め...まあいい、林部長にこの件をしっかり対応させよう。あまりに簡単に勝たせるわけにはいかないからな!」
以前、紫音側が用意した暴露資料は、ネット工作以外は全て無駄になってしまった。
矢崎粟に対してもう少し警戒心を持っていれば、広報部がこれほど会社の疑惑を晴らすために苦労することもなかったのに。