すぐに、撮影が始まった。
矢崎粟は明朝時代の学生服を着て、清らかな笑顔を浮かべ、本を手に持って、賑やかな通りを歩いていった。
カメラの中で、とても美しかった。
そして小島一馬が演じる軍閥が馬に乗って通りかかり、一目でこの美しい女性に魅了され、兵士を遣わして尋ねさせた。
彼女の名前を知ると、軍閥はそれを心に留めた。
最初の出会いのシーンが終わった。
次のシーンは軍閥が戦場で敵を倒すシーンで、戦火が四方に上がり、周りには死体が散乱していた。
このような環境で、軍閥は再び一目で心を奪われた女性と出会った。
彼女はもはや幼い学生ではなく、女性の表情には静けさと落ち着きがあり、銃を握り、凛とした気迫を放っていた。
周りでは爆弾が次々と炸裂し、四方には切断された手足が散らばっていた。
女性は依然として冷静さを保っていた。
かつては栄光に満ちていた軍閥司令官も今は重傷を負い、死体の山に埋もれていた。もし彼女が早期に発見して治療しなければ、おそらく戦場で命を落としていただろう。
ここまでで今日の撮影は終了となり、ほとんどが一発撮りで、監督も矢崎粟の演技に驚嘆していた。
彼女は何を演じても完璧で、ほとんど演技の崩れがなかった。
衣装と相まって、まさに戦場から出てきたような雰囲気を醸し出していた。このような若手俳優は滅多に見つからない。
「パチパチパチ!」
監督がカットを掛けた後、現場のスタッフ全員が思わず矢崎粟に拍手を送った。
この演技は、まさに影帝級だった。
小島一馬は演技モードから抜け出し、誇らしげな表情を浮かべた。「粟、君の演技は本当に素晴らしかった。君と共演できて光栄だよ。」
「お褒めに預かり光栄です。皆様、ありがとうございます。」矢崎粟は我に返り、周りの人々の熱心な拍手に気づき、丁寧に応えた。
メイクルームに戻ると、メイクさんが化粧を落とし始めた。小島一馬は矢崎粟と話をするために、同じメイクルームで化粧を落とすことにした。
本来は自分専属のメイクチームがいたのだが、今は矢崎粟のいる場所に行きたかった。
小島一馬は目を細めて、矢崎粟が目を閉じてメイクさんに化粧を落としてもらう様子を見つめていた。クレンジング剤の効果で、なめらかで瑞々しい素肌が徐々に現れてきた。