181 手を加えた

具体的にどの文字なのか、磨耗のため、一部が見えにくくなっていた。

「心配しないで、指輪の問題とは限らないから」渡部悠人は妻の慌てふためく様子に気づき、なだめるように言った。

この指輪は妻からの贈り物で、もし何か問題があれば、彼女が真っ先に責められることになる。

小島心はそれを当然知っていた。

しかし、なぜか彼女には不吉な予感がして、心の中の声がこの指輪に問題があると告げていた。

矢崎粟は符紙を取り出し、持参した筆で書き込み、それを机の上に置いた。

「よく見ていて」彼女の声が落ちると、指輪を符紙の上に置いた。

瞬時に、符紙全体が燃え上がり、金色の炎が空中で燃え続け、同時に空気中には吐き気を催すような臭いが漂った。

それは血なまぐさい臭いを帯びていた。

まるで腐敗した死体のような臭いが、病室の上空に広がり、頭に直接突き刺さるようだった。

「臭すぎる!」小島心は言うや否や、急いで窓を開けに走り、窓を開け放って空気が流れ出すまで、やっと少し楽になった気がした。

今となっては矢崎粟が言わなくても、みんなわかっていた。この指輪に問題があるのだと。そうでなければ、こんな臭いが出るはずがない。

「以前の臭いは隠されていたけど、今になって引き出されたわ。よく見て」矢崎粟は淡々と言った。

矢崎粟が朱砂を指輪の上に置くと、指輪にすぐに暗赤色の傷跡が現れた。

その跡は血のようで、背筋が寒くなるような感じだった。

「やっぱりこの指輪が原因だったんだ!」小島一馬は数歩前に出て、怒りを含んだ表情で言った。

これは明らかに誰かが義兄を害そうとしたものだ。矢崎粟が来なければ、義兄は本当にこれで命を落としていたかもしれない。

こんな陰険なやり方、本当に悪質極まりない。

矢崎粟は指輪を取り、その上の模様を指さして言った。「この指輪には邪気と怨念が宿っています。おそらく非業の死を遂げた人から奪われたものでしょう。これを常に身につけていれば、不運が続くことになります。あなたの家の福運が深くなければ、今頃命はなかったでしょう」

背後にいる人物の悪意は本当に酷い。

「どうしてこんなことに!」小島心は歯ぎしりして、顔を真っ赤にして怒った。

この指輪は彼女が贈ったもので、もし彼女のせいで夫に何かあったら、一生自分を許せないだろう。