渡部悠人の誕生日が近づいていた時、小島心は何をプレゼントしようか迷っていた。
川上夕子は彼女を連れて、あるオークションハウスに行き、指輪を指さして強く推薦し、この指輪は古風で上品で、プレゼントには最適な選択だと言った。
彼女は当然信じた。
「よく考えてみると、確かに指輪をつけてから不運が始まり、一連の出来事に遭遇したような気がする」と渡部悠人は深く考えながら言った。
こんなに長く着けていたことを思い出すと、ぞっとした。
本当に吐き気がする!
死体から剥ぎ取ったものだったなんて、これでは不運になるのも当然だ。
小島一馬は姉がまだあの川上夕子を信じているのを見て、焦りと怒りを感じた。今になってもまだ、その女の悪意に気付いていないなんて。
「姉さん、僕は前から言っていたでしょう。川上夕子と心を開いて付き合うべきじゃないって。私たち二つの家は競争関係にあるんだ。今は義兄さんの渡部家の古美術店の次に大きいのが彼らの川上家なんだから、義兄さんに何かしようとするのは、必ず彼らに利益があるからだよ!」と小島一馬は容赦なく分析した。