「お金は私の銀行口座に振り込んでね。送り出すわ」矢崎粟は彼が満足そうな様子を見て、ソファから立ち上がり、見送ろうとした。
矢崎弘は深く息を吸い、真剣な面持ちで言った。「ありがとう、妹。君がいなかったら、どうすればよかったか分からなかった」
「お礼なんていいわ。お金をもらって仕事をしただけよ」矢崎粟は平然とした表情で、彼の言葉を気に留めなかった。
矢崎弘が外に出て自分の車に座ってから、やっと虚しそうにため息をついた。妹が自分のことを認めてくれないのが残念だった。
こんなにいい子だったのに、以前の自分は本当に目が見えていなかった。
矢崎弘は時間を無駄にせず、すぐに五百万円を矢崎粟の口座に振り込んでから、安心して矢崎家に車を走らせた。
もうすぐ昼時で、昼食を食べに帰らなければならなかった。