196 不満

「本当?運を貸してくれるの?三兄さん、優しい!」矢崎美緒は早口で言い、顔には茜の笑みを浮かべた。

彼女がそんなに喜んでいるのを見て、矢崎若菜は再び頷いた。「もちろんだよ。君は僕の一番可愛い妹なんだから。他の人には貸さないけど、君には貸すよ。」

彼は躊躇することなく、すぐに運を貸し出した。

「三兄さん大好き!」矢崎美緒は心の中で狂喜し、素早く言った。

彼女は落ち着いて兄たちと朝食を済ませ、鼻歌を歌いながら部屋に戻った。興奮した気持ちを抑えきれないほどだった。

ついに運を借りることができた。すぐに運が彼女のものになる。

ただし、まだ小さな玄学法術を行う必要があった。

矢崎美緒は部屋に戻ると、コップを見つけ、純水を一杯注ぎ、その後床に座って瞑想した。

十数分後、彼女は符紙を一枚見つけた。

符紙に三兄の名前と生年月日時を書き、間違いがないことを確認してから、目を閉じて符紙に向かって呪文を唱えた。

終わると、マッチを取り出して符紙を燃やした。

符紙の灰は全て水の中に落ち、このコップの水が矢崎美緒が運を得るための鍵となった。

矢崎美緒はこの水を全て飲み干した。

飲み終わると、彼女は全身が変わったように感じ、髪の毛まで艶やかになり、肌もより滑らかになった。

この三兄の運の三分の一は、やはり効果があった。

しかし、彼女は心の中で考えた:もう一人分の運が手に入れば良いのに、そうすれば彼女の運はもっと凄まじいものになるだろう。

矢崎美緒は邪な光を帯びた目で、窓の外を見つめた。

その時、オフィスに座っていた矢崎弘は考えれば考えるほど怖くなった。もし後で矢崎美緒が彼を訪ねてきて、うっかり同意してしまったら大変なことになる。

そんな不運な結果は、背負いたくなかった。

しばらく座っていると、突然目を輝かせた。矢崎粟は風水師なのだから、何か方法があるかもしれない。

それ以上考えることなく、彼は車を運転して矢崎粟の家に向かった。

昨夜一度訪れており、その時特に矢崎粟の家の住所を覚えていた。着くと、彼はドアをノックした。

矢崎粟は彼が来ることを予想していたかのように、顔に驚きの色はなかった。

「何か用?」矢崎粟はドアを開けて彼を中に入れ、ソファに座って冷たい声で尋ねた。