スマートフォンを開くと、川上燕は矢崎粟からのメッセージを見た:【後でライブ配信で見せるから、川上夕子が不運な姿を必ず見られるよ、安心して。】
川上燕は返信した、【ありがとう!本当に見たいわ!】
矢崎粟も立場を変えて考えた。もし自分が川上燕だったら、きっと川上夕子の悲惨な姿を見たいと思うだろう。そうすれば恨みも晴れるはずだ。
チャットが終わった後、矢崎粟はスマートフォンで川上燕の携帯システムに侵入した。
彼女は川上夕子の携帯の位置情報を消去し、さらに骨董品オークション会場の監視カメラシステムにハッキングした。
矢崎粟は川上燕がオークション会場を出た部分を削除し、さらに食事エリアからオークション会場を出て行く監視映像も消去した。
これで川上家の人々は川上燕の足取りを追えなくなる。これらを済ませた矢崎粟は、再び悠々とステージを眺め、自分も骨董品を何点か競り落としてみようと準備した。
一方、逃げ出した川上夕子はまた不運に見舞われた。
彼女はガラスに手を伸ばして触れた。
今回は何の感覚もなかった。最初は偽物の骨董品に出会ったのかと思ったが、何度も試してみた。
しかし、まだ何の感覚もなかった。
川上夕子は以前、骨董品を感知する時、最も価値のある物だけをノートに記録し、少し劣るものは見向きもしなかった。
とても速く、非常に自信を持って行動していた。
しかし今、展示室に立って並んだ骨董品を見ていると、目が回るような感じがして、高価な骨董品を一つも思い出せなかった。
さらに、当時は幻術もたくさん使って、偽物の前でもしばらく立ち止まっていた。
だから、今の川上夕子の頭は糊のようになって、どの骨董品が本物で、どれが偽物なのか全く覚えていなかった。
まったく印象に残っていなかった。
すぐ後から来た川上海未は、川上夕子が取り乱している様子を見て、心配になって尋ねた:「何があったんだ?大丈夫か?」
この時の川上夕子は激怒して言った:「あなたがまだ私に聞くの?あなたが私に向かってくしゃみをしなければ、私も手が震えることもなく、ノートも濡れることもなかったわ。今は番号も何も見えない、これで大丈夫だと思う?」
川上海未がいなければ、事態はこうはならなかった。
今、川上夕子は怒りと焦りで、すべての怒りを川上海未にぶつけるしかなかった。