「私はあなたたちの繋がりを断ち切って、あなたを海外に送ることができます。海外に行きたくないなら、住む場所を見つけて、勉強を続けられるようにすることもできます。川上家の誰よりも良い暮らしができるはずです」と矢崎粟はゆっくりと言った。
川上燕は聞けば聞くほど心が動かされた。新しい生活を送ること、それは彼女も望んでいたことではないか?
残念なことに、ずっと川上家から抜け出せなかった。
しかし今、チャンスが訪れた。彼女は確かに川上家を離れたいと思っていたが、今はこのことの代償が何なのかわからず、川上燕の心には警戒心があった。
「なぜそこまで私を助けてくれるの?私に何をしてほしいの?」川上燕は冷静に尋ねた。
彼女は信じなかった、世の中にタダの良いことなどないと。
この世界はそういうもので、天から餅は降ってこない。矢崎粟が何を望んでいるのかわからなければ、彼女の助けを借りる勇気も出なかった。
矢崎粟は彼女の警戒心を見て、心の中でため息をついた。「実は私も被害者なんです。川上夕子も黒幕に操られた駒の一つで、私は黒幕を倒したいんです。そのためにはまず川上夕子という爪を切り落とさなければなりません」
続けて、矢崎粟は急いで説明した:「川上夕子の背後にいる人物は、偽の令嬢を送り込んで、名家の気運を吸い取るんです。矢崎家も同じように計略にかけられたので、私は復讐したいんです!」
これらの言葉を聞いて、川上燕は心が震えた。
川上家だけでなく、矢崎家も同じような目に遭っていたのだ。矢崎粟は彼女と同じ経験をしていた。
二人は同じ境遇だった。
「そうだったんですね」川上燕は深く息を吸い込んだ。
矢崎粟は頷いた。「もし師匠に出会って玄学法術を学ばなければ、今頃は山村で童養媳として売られていたかもしれません」
だから、彼女は川上燕に同情していた。また川上燕が立ち直って、より良い生活を送れることを願っていた。
矢崎粟は手を伸ばし、川上燕の手を握った。「自分に生まれ変わるチャンスをあげましょう。あなたはもっと良い生活を送れるはずです!」
この瞬間、川上燕は力強さを感じた。
彼女は決意した。もう一度信じてみよう、自分は苦境から抜け出して、素晴らしい生活を送れると信じよう。
玄学の能力がなくても、矢崎粟を助けて、黒幕を倒したいと願った。