スタッフは競売に参加する人々を集め、展示ホールに集合させた。
この時、骨董品はガラスケースから取り出され、全員の手に渡されていた。
ホールには長大なテーブルが設置されていた。
テーブルには赤い布が敷かれ、その上に競売参加者の番号が書かれており、皆は順番に自分の位置を探した。
矢崎粟の番号は渡部悠人たちと連続していたため、自然と同じエリアに立っていた。
そして川上家のテーブルは彼らの左手側にあった。
この時、川上家のテーブルには既に多くの展示品が箱に包まれて置かれていた。
続いて、司会者が資格証書のある骨董品を発表し、等級も読み上げられ、会場の全員が聞けるようにした。
矢崎粟は川上夕子を見て、笑いながら言った。「川上さん、今朝競売会場の入り口で何を言ったか覚えていますか?本物の骨董品を全部買い占めると言いましたよね。それなら、あなたの前にある骨董品は全部本物なんでしょうね?」
川上夕子が公の場で言ったことなので、矢崎粟は当然皆に思い出させようとした。
周りの人々もそれを聞いて、興味を示した。
「そうですね、川上さんは自信満々なんでしょうね?」
「本当の実力があるなら、全ての骨董品を手に入れることができれば、私も納得します。でも、一つも本物を手に入れられなかったら、笑い者になりますよ。」
「川上夕子を甘く見ないでください。彼女は風水協会にも認められた天才です。あなたたち凡人が天才と比べられますか?」
「そうそう、じゃあ見ていましょう!川上さんが一体いくつの本物の骨董品を落札するか。」
川上夕子は常に派手な行動をとり、一般の骨董品専門家たちを見下していたため、多くの人が彼女に対して良くない印象を持っていた。
川上夕子を貶めたい人がいれば、彼らは当然喜んで参加した。
川上夕子は自信がなかったが、証書が発行される前に弱気になりたくなかったので、怒って言った。「当然です。私たち川上家が選んだ骨董品は、必ず全て本物です。見ていてください!」
今更弱気になれば、軽蔑されて笑われるだけだった。
心の中がどれだけ不安でも、勝利を確信しているような態度を装わなければならない、これが心理戦だった。
「じゃあ、見させていただきましょう!」矢崎粟は意味深な笑みを浮かべ、目に深い意味を込めた。