204 強気な言葉

「そうよ」小島心は我慢できずに罵った。「あなたこの卑しい女、この前古美術品が入荷した時、川上家は全然手に負えなかったのに、あなたたちは少しも分け与える気がなかった。今さら偽善的な態度を取るなんて」

この件を思い出すと、彼女の心はさらに怒りで燃えた。

これまで渡部家の古美術品の買い付けが飽和状態になると、いつも川上家にルートを分けていたのに、川上家は一度も渡部家に利益を分けることはなかった。

これは彼女が数日前に知ったばかりのことだった。

両家がギブアンドテイクの関係だと思っていたのに、今になって気付いたのは、渡部家だけが損をしていて、川上家から提供されたものは全て利益の出ないものばかりだったということだ。

「そこまで言うなら、古美術品を探す時に遠慮しないわよ」川上夕子は強い口調で言い放った。

古美術品オークション会場では、全員がまず古美術品を鑑定し、本物の古美術品の番号を記録する。

最後に、一括でオークションを行う。

全員が自分が本物だと思う品物に値をつけ、落札して初めて手に入れることができる。

小島心は嘲笑い、顔には嘲りの表情を浮かべた。「あなた、今回も本物を見分けられると本当に思ってるの?もしかしたら、今回はあなたの運が極端に悪くて、価値のあるものを一つも買えないかもしれないわよ」

古美術品のオークションは、もともとリスクを伴うもので、誰も毎回本物を見つけられるとは断言できない。

小島心も、この川上夕子が毎回そんなに運が良いとは信じていなかった。今では川上夕子を競争相手であり敵としか見ていない。

川上夕子が何を言おうと、もう表裏のある女の言葉は信じないと決めていた。

「じゃあ遠慮なくいかせてもらうわ。どちらが勝つか、見ていましょう!」川上夕子の表情が暗くなり、必ず勝つという決意が顔に表れていた。

今回こそ、全ての本物の古美術品を見つけ出して、渡部家を大損させてやる。

誰が最後に笑えるか、見ものね。

たとえ渡部家が彼女を標的にしても、実力がなければ何の意味もない。

「見ていれば分かるわ。あなたがこれからどんな目に遭うか、楽しみにしているわ」小島心も彼女を恐れてはいなかった。どうせこれからは二度と関わることはないのだから。

彼女はすでに川上夕子の連絡先を全て削除していた。小島心の性格は好き嫌いがはっきりしていた。