204 強気な言葉

「そうよ」小島心は我慢できずに罵った。「あなたこの卑しい女、この前古美術品が入荷した時、川上家は全然手に負えなかったのに、あなたたちは少しも分け与える気がなかった。今さら偽善的な態度を取るなんて」

この件を思い出すと、彼女の心はさらに怒りで燃えた。

これまで渡部家の古美術品の買い付けが飽和状態になると、いつも川上家にルートを分けていたのに、川上家は一度も渡部家に利益を分けることはなかった。

これは彼女が数日前に知ったばかりのことだった。

両家がギブアンドテイクの関係だと思っていたのに、今になって気付いたのは、渡部家だけが損をしていて、川上家から提供されたものは全て利益の出ないものばかりだったということだ。

「そこまで言うなら、古美術品を探す時に遠慮しないわよ」川上夕子は強い口調で言い放った。