商談が終わった後、矢崎粟は車に乗り、小島一馬に家まで送ってもらった。
家に着いて、お風呂を済ませた矢崎粟は、森村博人からの電話を受けた。
「社長、空港から小島若様と一緒に帰る時の写真がパパラッチに撮られて、今ネットに出回っています。二人が付き合っているという噂が広がっていて、すぐにトレンド入りしそうです。否定する必要はありますか?」
向こうは慌てた様子で、今知ったばかりのようだった。
矢崎粟は少し考えて、「私は気にしていませんが、小島一馬に電話して確認してみます。後で連絡します」
「承知しました」森村部長は電話を切り、仕事に戻った。
通常このような事態では、ファン層の多い方がより気にするものだ。小島一馬はトップスターなので、向こうに確認すべきだろう。
矢崎粟が電話をかけた時、小島一馬もちょうどこの件を知ったところだった。
彼はリハーサル中に助手から知らされた。
小島一馬は携帯でネット上の写真を一枚一枚見ながら、口角が上がりっぱなしで、とても嬉しそうだった。
ついに二人の熱愛報道が出た!
傍にいた助手は心配そうな表情で、この件が小島一馬に影響を与えることを恐れていた。
矢崎粟から電話がかかってきて、小島一馬は即座に出た。
「ネットの熱愛報道見ました?パパラッチがスクープを狙っているみたいです」矢崎粟の言葉は簡潔だったが、心配している様子はなかった。
小島一馬は慎重に尋ねた:「僕は気にしていませんが、あなたは気にしますか?もし気になるなら、否定させます」
しかし心の中では、否定したくなかった。
このまま誤解され続けても、悪くないと思っていた。
「私も気にしていません。ただあなたへの影響が心配で」矢崎粟の声は淡々としていた。
小島一馬は興奮しながらも、平静を装って言った:「僕は大丈夫です。じゃあ、このまま放っておきましょうか?」
「そうしましょう」矢崎粟は答えた。
二人はしばらく話をして、電話を切った。
矢崎粟はこの熱愛報道をそれほど気にしていなかった。噂があることで話題性が生まれ、彼女のキャリアにとってはプラスになる。
どうせ大した影響もないし、これから始まるバラエティ番組の話題性も上がる。
Win-Winだ!
一方、矢崎泰は矢崎弘と用件があって会う約束をしており、バーの個室で偶然矢野常と出会った。