226 本物の骨董品がない

暗黙の入札結果が発表された後、人々は驚嘆の声を上げた。まさか今回も川上家が最も多くの金を使うとは思わなかった。

実に二千点以上もの骨董品。

この数量は、どのオークション会場でも驚異的な数字だった。

矢崎粟も驚いた。この川上家は本当にお金を使うことを恐れないが、本物の骨董品が一体どれだけあるのかは分からない。

発表の後、骨董品の鑑定証書を配布する段階に入った。

証書があれば、それは利益が出たということだ。

もし証書が発行されなければ、その骨董品は損失となる。

オークション会場も皆が自分の落札した骨董品の真贋を知りたがっていることを理解し、数十人のスタッフを一斉に配置して証書を配布した。

証書を受け取れば、すぐに損益を計算できる。

数十人が一斉に配布したため、速度は非常に速かった。

多くの人が川上家のテーブルの周りに集まり、川上家の栄光を再び目撃しようと待っていた。

川上家は今回の暗黙の入札で最も多くの骨董品を落札し、同時に最も名声のある存在だった。

多くの人が川上夕子の天才としての名声を聞いており、一目見ようと思っていた。

暗黙の入札に参加していない人も、この賑わいに加わりたがっていた。

川上家の周りは人で溢れかえっていた。

すぐに骨董品の鑑定証書の配布が終わったが、川上家は一枚も証書を受け取っていなかった。人々は不思議そうにスタッフを見て、配布漏れがあったのではないかと疑った。

しかしスタッフは、すべての証書は配布済みだと宣言した。

見物人たちの間で議論が始まった。

川上夕子は呆然として、信じられない様子だった。「どうしてこんなことに?二千点以上の骨董品を落札したのに、一つも本物がないなんてあり得ない?」

まさか入札用紙に記入した数字が、一つも合っていなかったのだろうか?

これだけ多くの骨董品があれば、偶然でも一つや二つは当たるはずなのに!

こんなに運が悪いものなのか?

この状況は骨董品オークション会場でも稀に見るものだった。スタッフも困惑した様子で「お客様の落札品には一つも証書が出ませんでした。私たちも予想外でした」と言った。

以前は、川上夕子は本物の骨董品を見分けることの代名詞だった。

しかし今や、川上夕子は不運の代名詞となっていた。