239 感動

「お兄さん、法器を持ってきたの」矢崎美緒は首にかけていたネックレスを矢崎若菜に渡しながら言った。「このネックレスは不運を抑えることができるの」

ネックレスを外したばかりで、まだ温かみが残っていた。

矢崎若菜は感動して尋ねた。「美緒、自分の法器をくれるの?あなたは何をつけるの?」

やはり妹は良い子だ。あの兄弟たちは頼りにならない。

「私は必要ないの。お兄さんが無事でいられれば、それでいいの」矢崎美緒は言い終わると、優しく微笑んだ。

この言葉に矢崎若菜はさらに感動した。

元々、不運な出来事のせいで矢崎美緒を責めていたが、今となっては、やはり美緒が一番彼のことを心配してくれているようだ。

別れた後、矢崎美緒は部屋に戻り、ポケットから玉の指輪を取り出した。

バラエティ番組のことを考えなければ、矢崎美緒はネックレスを矢崎若菜に渡すことなどしなかっただろう。